20年ほど前、本屋で偶然手にとった本ですが、『脂肪という名の服を着て』の感想です。
『ハッピーマニア』の安野モヨコさんの漫画。
ハッピーマニアの続編が最近出ました!しかし怖い内容らしい。
そういえば、こんな怖い漫画もあったなと思い出して・・・。
ネタバレありのあらすじをざっくり。
主人公の都会で働く若いOL「のこ」。ちょっとぽっちゃりしていて、地味かわいい。気が弱くて職場ではいじめられている。のこには斎藤君っていうハイスペックな彼氏がいるんだけど、そいつが結構やばい奴だ。のこの病みのスタートは、まず斎藤君から始まっている。
(彼と母親との関係にかなり問題があるぞ)
のこは斎藤君の前でいつもビクビクしている。
職場でもプライベートでも嫌なことばかり。
のこはそれを
「自分が太っているせい」
と決めつけていて
「痩せれば解決する」
と思っている。
職場の意地悪で美人な同僚のマユミが、のこカレ・斎藤君にちょっかいを出して寝取る。
これ100パー、のこに非はないのに「私がデブだから・・・もっと痩せていたら・・・」
のこは、ダイエットを決意する。
少女漫画だと思ってうっかり読むと、超怖い漫画。
ライトな内容だったら、ちょっとおっちょこちょいな主人公、恋愛要素、意地悪な同僚、ダイエット頑張る。
いや、違う違う!
普通はね、明るい漫画だと、努力根性友情出会い、みたいな感じで前に進んでいくはず。
なのだが。
大富豪の老人(ぽっちゃり好き)と出会い大金を得る、のこ。
こうやって書いたらなんかおもしろいように思えちゃう。けどこれ、漫画だとすごく暗いんだよね。たしかテレクラで出会うんだもん。
今だと「パパ活」というやつか。
悪夢のような一夜が明けたあと、袋の中に札束がぁぁぁ・・・。
で、そのお金で当然エステに行くよね。
エステのお姉さんたちと全く仲良くなれない、のこ。
普通は「よくいらっしゃいましたね!一緒に頑張りましょうね(ハート)」となるはずだが・・・。
ダイエット、全然進捗せず。
暗いよ、のこーーー!そういうエステじゃなくてさー、もっと優しい男性が営んでいるようなアロママッサージとかさ、「幸せ~、楽しい~」みたいな気持ちになれるとこ行こうよおおお?
ストレスだよ、君の過食は・・・。
癒やされてストレス解消みたいな感じがいいと思うのに。
そんなにのこをいじめないで・・・やめて・・・怖いよー。
例えば凪のお暇だったら、夢のコインランドリー丸ごと買えちゃうくらい大金を得たのこだったが、エステにお金をつっこんでも全部がゴミと化していくのこだった・・・。
主人公(?)のこは、痩せてきれいになれるよね・・・?
不安になってくるが、 ここからさらにホラーな展開が広がっていくーー。
のこっていう名前が、もう変なんだけど。
のこは暗い!!全体的に、どんよりしている・・・。
いや、よく見ると顔は地味可愛いのに、なぜ。
不謹慎だけど「いじめられちゃうわ、これじゃ・・・」と読者目線から思ってしまう。
また、そんな自分にぞっとする・・・。
あたしもマユミと一緒じゃんと。
のこの周りの人間、のこに対する対応がひどすぎん?
心の声、漏れすぎ・態度に出しすぎ。
田端ーーー!この子も怖い。
いわゆる隠キャで、優しい・・・(?)
主人公の補佐的立ち位置なのかと思いきや。
仲良くなったら宗教に勧誘してくるとか!!!
怖すぎだしーーーリアル(ある、あるあるだよーこれは)
いろんなことがうまくいかず、どんどんのこは落ちていく。
意志が弱くてダイエットも失敗。
むしろどんどんブスになっていくのこ。
でもね・・・そんなのこが、痩せてきれいになる。
ある時を境に、しかも超短時間で。
・・・はい、嫌な感じしてきた。
過食嘔吐デス。
やだもう怖い!!!!
この本を買った当時は、私もひとり暮らし。
恋愛などで悩み多き時期。
実は、仕事でストレスがたまるとやたら菓子パンを食べては、どんよりして週末寝込む・・という生活を繰り返していた。
控えめに言ってもメンタルダウンだったと思う。
結局、当時の仕事もやめることに。
過食も徐々になくなっていったんだけど。
もう何なの?リアルすぎるんだけど・・・と思ってトラウマになった漫画でした。
のこが
「食べている間は、何も考えなくて済む」
って一切光のない死んだ目でつぶやく描写があるんだけど、「まんま(あのときの)私だよ」って鳥肌が立った。
共感はできるのに、全然うれしくないし救いもないっていうね。
ちょうどそのころの私は、夜中にツタヤに行くことが多かった。
家に帰りたくなくて、フラフラ出歩いていたんです。
ひとりぼっちの部屋に帰りたくないし、かといって疲れているので誰とも会いたくない気持ちで。
そのとき、付き合っている彼氏というか、ディズニーランドとかも一緒に行くような仲の男性がいたのだが、なぜかモヤモヤしちゃう関係だった。
好きなような違うような、好かれているのかも自信がないし、仕事も大変で自分は疲れ切っていて。
まさに「のこと斉藤君」でした。
そんなとき手にとった本だったので、もうトラウマレベルでぐっさり来ました。
心が弱っているときには読んではいけない漫画。
元気なときに読んだって、鬱になるやつ。
なんにもスッキリしない内容。
女って・・・そう!なんだよ!怖いよ!
と、これでもかってくらい女性の嫌な部分の描写がリアルだった。
読んだあとは、表紙を裏返さないと怖くて眠れなかったことを覚えています。
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