バアバの直売所デビュー 納品編です。
バアバがさわし柿を出すというので、私とジイジとバアバで、納品作業をしました。袋詰めをして直売所へ車で持って行きました。
「直売所へ出すってどうなの?ぶっちゃけ儲けって出るものなのか?」と常日頃から気になっていましたが。今日、その答えが出せるのですね。納品をする日、電卓片手にお手伝いをしてみました。
家の奥座敷の涼しい部屋から、箱に入った果物を持ってきました。今日の出荷物は「さわし柿」。渋柿にアルコールを吹き付けて何日もおいておき、甘柿へと変化させたものです。
入れ物は、100円ショップにも売っている透明なプラのお弁当入れ。よくスーパーでいなり寿司とか入っているあれです。柿は2つか3つくらい入るかな・・・。
何月何日につくったさわし柿です、◯◯円、みたいなことを、かわいい付箋にマジックで書いて上に貼り付けました。
私はこういうおばあちゃんが書いたような字で、素朴なシールが貼ってあったら、買ってしまうなあ~。
最近は何でもオシャレになってきているのでね。逆にこういう「マッキ-で書いたよ的な」ポップがよいです。「太郎のリンゴ」「よしこの桃」(筆ペン)みたいな。パソコン使えねえ。FAXしか連絡手段ない、みたいな。畑に行ってるから電話もつながらない、畑に行かないと会えない、みたいな。
値段をつけるときにちょっと時間がかかりました。
「幾らにするか」と。
悩みます。
ネットで「築地市場市場価格」検索。調べると、キロ幾らと出てきます。
ただ、しっくりこなくて。2個なので。
楽天で「さわし柿」と検索してみました。出た出た。一箱3,000円とか。
「高っかいよ」とバアバ。参考にならん・・・。
ここはバアバに決定権がありますので、
「いくらにしようかねえ」と楽しそうに悩んでいました。
「いくらなら逆に買ってもいいと思う?」こんな感じで価格が決まります。
だから、安いんだよね。家にも近所にも野菜いっぱいあるもん。
「いくらにする?」2個で150円と決まりました。21パックつくりました。
さて、3人がかりでパッケージングも終わり、車で直売所へ運びます。
関係者札を首から下げ、直売所のバックヤードへ。バーコードのシールを機械でその場でつくります。
生産者名、価格、バーコードを機械へ入力。生産者番号を入れ、シールで出し、貼り付けます。さっきのかわいい付箋が見えるような位置へ。
さて、並べます。これ、結構アバウト。だいたい果物たちが並んでいるところで空いている棚へ並べていきます。隣にシャインマスカットがいるが・・・地味だが、さわし柿がんばれ。
やっとこ出荷作業が終わりました~。
直売所を一週して帰るか。いろいろ買い物したくなります。売りに来たのに何ということでしょう。
車に戻ると大変なことが発覚。ドア開かない。鍵は?バアバ、インキーしてドアロックしていました。車の鍵ない、車で帰れません・・・・。
しょうがない、ジイジを召還します。家から軽トラで15分ほどかけてここまで来たのに、家で待ってたジイジに乗用車で15分かけてスペアキーを持ってきてもらいます。今日はいつもと違って私がついてきた、というイレギュラーなこともあったので、いつもと調子が狂ったのでしょう。責任の一端を感じます・・・バアバごめんね。
待っている間、うちのさわし柿が売れたかな-と思って覗きにいったのですが、誰も手に取る気配はありませんでした。
バアバの家から帰るときも直売所を覗いてみたのですが、全部残っていました。ちょっと切ない気持ち。
後日、「さわし柿どうなった?」と聞くと、「うん、2個返品になって全部売れたよ」と。
まじですか、すごい(うれしい)。
パッケージに幾らかかかって、ジイジと私が小一時間ほどお手伝いをして、ガソリンかけて車に乗って、
(何にも売れてないのに直売所の魚の唐揚げとドライフルーツ買ったよ)
「少しでも安くたくさんの人に食べてもらえる価格で」なんてやっていると、
「お金を儲けたいから」という気持ちではとてもとても、無理ですね。
さて儲かったのでしょうか。
150円掛ける21パックで3,150円。
直売所に3割引かれて2,000円くらい。
ガソリン代が往復300円として、パッケージいろいろ引いて、全部売れなかったとして、1,500円。
ジイジと私が小一時間バイト代としてお金を払うとしたら・・・・あららら・・・。
肥料や種代や農薬代などは入っていないから、あら・・・あらら・・・。
ちょっと待って、魚の唐揚げ1,000円くらい買ってなかった?あらららら。
バアバの作業時間分は?
ジイジ(60代男性)、私(アラフォー)の小一時間ほどの時給換算だけで、もう100%マイナスですから。
高度経済成長になって、畑がなくなり工場へと変わっていった理由も、何となくこういうことだったんでしょうか。
「高い時給払ってもなお儲かるんだったら逆にすごいぞ」と思って頭の中で電卓たたいてみたのですが~~。やっぱり。
外国みたいに飛行機で種をまいて飛行機で農薬まいて、Googleマップに表示されるくらい広く畑地帯にしてカンパニー経営したら、逆に儲けが出るのかな??だから外国はそうなのかと納得。
ただ、プライスレスの部分はたくさんあります。
・売り場にいると、結構話しかけられる。
・お客さんが以外と果物に詳しい。
・捨てていた果物が「数千円」になる。
・出荷したことはあっても目の前で買ってもらったことはなかった。
・努力(きれいに美品を出品)に対して反応(売り切れる)がありうれしい
・会社に所属して今まで行ってきた納品作業に比べると格段と楽(マイペースにできる)
バアバは売り場でお客さんと楽しく会話しているそうです。呼び止められ、果物についていろいろ聞かれて、答えてあげると喜ばれるそうです。今まで食べきれずに畑の肥やしになっていた果物が「数千円」と変わるので、すごく楽しいらしいです。きれいにパッケージして美品を出すよう心がけると、売れ残りも少ないそうです。今まで出したものはほとんど売り切っているようです。自分の工夫がすぐ結果に反映するのも楽しいそうです。
今まで何十年も続けてきた「農業のスキル」がベースにあることが大前提ですが、「好きなときに無理なく」「自分のペースで」働き、少しだけお小遣いになる、直売所通いはとても楽しいそうです。
私の目から見ると、「農業」のお仕事というのは、細かい作業や危険な作業、いろいろな手作業がその季節ごとにあります。天候にも左右されます。それらを黙々とこなしているジイジ、バアバを尊敬します。自分でも家庭菜園をかじるようになってから、さらにその気持ちは強くなりました。
農業でも家庭菜園でも、畑やっている人と以下のように世間話すると、100%の同意をもらえます。
「畑やるって、本当にいろいろ大変なことがあるよね。畑を続けてるって、えらいことだよね」
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